Testimony
私は、仏壇も神棚もある家に生まれ育ちました。高校生の頃、父は独立して雑貨卸の自営業を始めましたが、やがてバブル崩壊の時代を迎え、会社は大変な借金を抱えることになりました。それでも両親は、朝から晩まで懸命に働き続けました。その姿を見て、私も父の会社を手伝うことを決めたのです。でも、景気の冷え込みは厳しさを増し、経営は次第に行き詰っていきました。家族の雰囲気も悪化し、私は心身ともに疲れ果てていきました。そんな時、得意先で働いていた一人のクリスチャン女性と出会い、彼女を通して教会に導かれました。そこで初めて聖書にふれ、イエス・キリストを知ったのです。
当時の私は、聖書のことも神さまのことも何も知りませんでした。でも、教会に通い始めて一年ほどが過ぎた頃から、聖書が語る「罪」が自分自身の中にあること、その罪のためにイエスさまが十字架で死んでくださったことを真剣に考えるようになりました。そして、多くの方の祈りに支えられながら、信仰へと導かれ、洗礼の恵みにあずかりました。家族の反応は決して温かいものではありませんでしたが、それでも、私はこの方とともに生きたい、そして、この方の愛を一人でも多くの人に伝えたいと思うようになっていきました。
その後、ある青年との出会いと別れが、私の人生を大きく変えることになりました。彼は心の病を抱えていましたが、不思議な導きの中で教会に来るようになり、少しずつ変えられていく姿を通して、私は「神さまは本当に生きて働いておられる」と感じていました。ところが、突然、彼との別れが訪れました。私は「主よ、なぜですか…」と受け止めきれない思いを抱えながら、彼の葬儀で思い出を語らせて頂きました。その葬儀の中で、一つの御言葉が心に深く留まったのです。ヨハネ14:1「あなたがたは心を騒がせてはならない。神を信じ、またわたしを信じなさい。」そして彼が、あらゆる苦しみから解放されて、天の御国で主の御もとにいることを信じるようになりました。
その後しばらくして、ルカ9:62「鋤に手をかけてから…」という御言葉が強く心に迫ってきました。洗礼を受けた時から漠然と抱いていた献身への思いが、次第に確かな召しとして与えられていったのです。未信者であった両親は強く反対しましたが、自分の真剣な気持ちを伝え続け、得意先にも事情を説明して、二年後には仕事を辞め、妻にも納得してもらい、東京基督教大学で学ぶ道が開かれました。
私はそこで一心不乱に神学を学びました。子どもの頃から両親に心配ばかりかけ、親孝行らしいことも何一つできていなかったので、早く牧師になって安心させてあげたいと願っていました。でも、その願いは突然断ち切られました。神学校三年目の秋、父は自ら命を絶ったのです。変わり果てた父の姿を前にして…私は聖書を破り捨て、祈れない、誰にも会いたくない、神などいるはずがない…と自暴自棄に陥りました。
そんな中、ある御言葉が沈み切った私の心に深く響いてきました。ルカ22:32「しかし、わたしはあなたのために、あなたの信仰がなくならないように祈りました。ですから、あなたは立ち直ったら、兄弟たちを力づけてやりなさい。」不思議な体験でした。それは肉声ではありませんが、確かにイエスさまの語りかけでした。イエスさまがともにいてくださる。しかも私のために、私の信仰がなくならないように祈っていてくださる。そのことがわかった時、涙が溢れて止まりませんでした。そして、「立ち直ったら…」という続きの御言葉を通して、こんな者でも主がお用いくださるのであれば…と再び献身へと導かれていったのです。
あれから十数年が経ちました。今も心の傷が消えたわけでありません。でも、私は、父の死を通して、イエスさまの身代わりの死の意味を、以前より深く考えさせられるようになりました。父は、真面目で、責任感が強く、厳しさの中にも優しさのある人でした。最後に残された手紙には、「ダメな父親で申し訳なかった」と書かれていましたが、私は今でも全くそうは思いません。もちろん、自死は決して良いことではありません。でも、それを選ばざるを得なかった父の苦しみを、家族として重く受けとめています。
聖書には、「救いは主もの」とあります。だから私は、願わずにはいられません。もし父が、最後の瞬間に、イエスさまとともに十字架にかかったあの強盗のように、「イエスさま。あなたを救い主と信じます」と心から叫んでくれていたらーー。最後の時は、誰も見ていませんので、本当のことはわかりません。でも、もしその時、父が主にすがっていたなら、私は天国で父と再会することができます。その時、主から「よくやった。忠実なしもべだ。」と言ってもらえるように、精一杯、この道を歩み続けたいと思っています。弱く、頼りない者ですが、それでも、イエスさまはこんな私を用いてくださり、最善の道を備えてくださるお方です。だから私は今、「主よ、ここに私がおります。私を遣わしてください」という思いで、主のとりなしの祈りに支えられながら、この素晴らしい福音を一人でも多くの方にお伝えしていきたいと願っています。
長い文章を…最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
2021年8月
山下 亘
(50歳の誕生日に)
日本同盟基督教団
箕面めぐみ聖書教会
〒562-0001 大阪府箕面市箕面4丁目3ー9
TEL/FAX:072-720-7035
minohgrace1994 アット yahoo.co.jp
主任牧師:山下 亘
(アクセスはこちら)
All rights reserved
Minoh Grace Bible Church